恐ろしいことに気づいてしまった

どうも。

牛乳飲みたいです。


昨日はハロウィンでしたね。

渋谷は大騒ぎになっていました。

実は私、日常的に渋谷を乗り換えで使っています。


昨日も例外ではなく、夜の9時頃に渋谷駅にいました。


スクランブル交差点にいる仮装した人の量は去ることながら、私が驚いたのはそれを写真に収める人の数の多さです。


彼らは駅の中からスマホスクランブル交差点に向けていました。

その数ざっと100人以上。


私は驚きを隠せませんでした。


仮装をして楽しむ陽キャとそれを傍から写真に収める陰キャ


清々しいほどのこのコントラストに何故か感心しているとそれは現れたのです。



なんと、ハロウィンを楽しむ陽キャの写真を撮る陰キャの写真を撮るド陰キャがいたのです。

その陰キャっぷりは凄まじい。

この世の全ての光を吸収し尽くしてしまいそうだった。


そのド陰キャを見て、私はどうしたと思う?



私は、ハロウィンを楽しむ陽キャの写真を撮る陰キャの写真を撮るド陰キャの写真を撮ったのだ。


プライバシーの観点からここには写真を上げられないのだが、要するに私はドド陰キャになった。

その陰キャっぷりは凄まじい。

一周まわって黒光りしていただろう。



陰キャすぎだろワロwwwなどと思っている時、私の脳内にニーチェのある言葉が浮かんだ。


皆さんはニーチェをご存知だろうか。

ニーチェとはドイツにいたものすごく気持ち悪くて偉い哲学者です。

彼が残した気持ち悪い名言のひとつに次のようなものがある。



When you gaze long into the abyss, the abyss gazes also into you.

深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いているのだ。



初めて聞いた時、この言葉の意味を全く理解できなかった。

深淵って何?なんで深淵が覗いてくるの?

当時の私はこの言葉を大して気にしなかった。


しかし、昨日黒光りのドド陰キャとなった私にはその意味がわかったのだ。


ハロウィンを楽しむ陽キャの写真を撮る陰キャを見ていた彼は私という陰キャにその陰キャっぷりを覗かれていたのだ。


そう。深淵とは陰キャ度合い、内なる自分の卑屈さであり、他者の陰キャ度合いを確認していたド陰キャはドド陰キャによって自分の陰キャ度合いを確認されていた。



そして私の一連の発見はクライマックスを迎える。



「ド陰キャを観察していた自分も誰かに観察されているのではないか・・・??」


陰キャを超えるドド陰キャである私の陰キャ度合いを観察するドドド陰キャがいるはずだ。間違いない。


だって、深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いているのだから。


私を観察する(ド×3)陰キャ陰キャ度合い、すなわち陰キャネスは私のそれよりも遥かに負の値をとる。


それだけではない。

その(ド×3)陰キャ陰キャネスを伺う(ド×4)陰キャも存在するはずだ。



もう言いたいことは分かるだろう。

同様にして任意の自然数kについて、(ド×k)陰キャが存在するなら(ド×(k+1))陰キャも存在する。


よって数学的帰納法を用いると、全ての自然数nに対して、(ド×n)陰キャが存在することが示せた。







示している場合ではないだろう。


これは恐ろしい発見だ。


スクランブル交差点で仮装をしている人達を除いて、全人類は陰キャであることが証明されてしまったのだ。


あな恐ろし・・・




その瞬間、世界が真っ暗になった。

スクランブル交差点を除いて。


「そうか・・・!私が恐ろしい事実に気づいてしまったから人類の陰キャネスが暗闇として見えるようになってしまったのか・・・!?」

だからスクランブル交差点だけは明るいのか・・・!


渋谷駅構内では陰キャ達が戸惑う声が聞こえる。


「停電か!?」

「違うわ!スクランブル交差点だけは明るいもの!」

「ママー!怖いよお!」

少年の泣き叫ぶ声が聞こえる。



全部私のせいだ。

私が無駄なことに気づいてしまったからだ。


しかし、後悔先に立たず。

覆水は盆に返らない。


今この状況を改善するには、私に残された選択肢はただ一つ・・・!




「Hey! みんな!」


私は上裸になりそう叫んだ。



「俺と踊ろうぜ!Shall we dance??」


私はYouTubeで「EDM 人気」と検索し、1番上にヒットしたものを再生した。


アップテンポな曲が流れ始め、上裸の私はそれに合わせてぎこちなくも踊った。


周りの人間はあっけに取られている。

それはそうだ。なぜなら彼らは陰キャだからだ。



(頼む・・・!誰か乗ってきてくれ・・・!)


私は心の中で必死に願っていた。


その時、奇跡は起きた。

パンツ一丁の中年ハゲオヤジが私の横で踊り出したのだ!


私は泣き笑いの表情を作った。


「・・・!?おじさん・・・!?」


「なに、お礼を言うことはない。少し若い頃を思い出してね・・・!」


おじさんはキレッキレのダンスを披露した。


おじさんの周りの照明に再び光が点った。


私は内心でガッツポーズをした。

「やった!おじさんの陽キャネスが明かりを灯した!」



「おじさんかっけえ!俺も踊りたい!」

「私は脱げないけど一緒に踊りましょう!」


おじさんの踊りに触発され、周りの人が踊り出した。


天井では、明かりが次々と命を取り戻す。


床の上では老若男女問わず踊り出す。


この踊りは渋谷駅のみに収まらなかった。


海を越え、国境を越え、瞬く間に世界中の陰キャ達が踊り狂ったのだ。

そして世界には再び光が戻った。



渋谷では仮装していた陽キャ達も踊りに加わった。



今、踊りを通じて世界は1つになっている。



ダンス万歳!



ハロウィン万歳!



2018年10月31日。

この日、世の陰キャ達は陽キャへと転生することに成功し、ハロウィンはそれを祝いみんなで踊り狂うイベントになったのだ。